瀬織津姫神
日吉大社と瀬織津姫神(下)
大分県杵築市大田に比枝神社がある。
『太田村誌』によると主祭神は、大己貴命で相殿神に国常之命・国狭土命・惶根命・伊邪那美命・瀬織津姫命・天忍穂耳命・瓊瓊杵尊・神産巣日神を祀り、他にも明治期に合祀した神々を祀っている。

社伝によると、弘仁元年10月15日(810年、平安時代)、日吉大社の分霊を小野に勧請し、鎮守の神とした。古来、小野の水田の多くは干ばつに悩み、人々は高田の浜に潮くみに出かけ、比枝の大神にお供えし、祈念すると霊験まことに著しく、雨は降り、
五穀は豊かに、人々は飢餓を免れたと語り伝えている。降雨の神徳を持ち、各地で「雨乞い」の神として祀られている神に該当するのは、祭神の中では、瀬織津姫命である。




日吉大社の最初の神祀りは、「日吉神と后神」の一対の祭祀であったことは先に触れた。
『社寺縁起伝説辞典』戒光祥出版の日吉大社の項には、「故事談」巻五に、住吉明神が日吉明神の繁栄を祈る話や住吉明神は昔、新羅を討ったとき、我が大将軍で日吉明神が副将軍、将軍を討ったときは、日吉が大将軍で我が副将軍であったと託宣して、日吉神の威徳を讃えていると記されている。新羅を討ったときとは、神功皇后の三韓征伐のことと考えられる。つまり、三韓征伐に向かう船に乗ったのは、住吉明神と日吉明神と伝えているのである。
『古事記』には、神功皇后に託宣する神を「天照大神の御心ぞ。亦底筒男、中筒男、上筒男の三柱の大神ぞ」と記されている。
『日本書紀』には、天照大神の御心ぞと託宣した神を撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(ツキサカキイツノミタマアマサカルムカツヒメノミコト)と記されている。この神は、天照大神荒魂とも呼ばれる女神で伊勢内宮の荒祭宮の神である。伊勢から分霊した山口大神宮(山口市)は、天照大神荒魂を瀬織津姫神と案内板にあり、大阪の御霊神社も天照御大神荒御魂坐瀬織津日賣大神(「大阪府神社要覧」S4年)と記されている。兵庫県西宮の廣田神社は、神功皇后伝承とともに天照大御神之荒御魂を撞賢木厳之御魂天疎向津媛命と同神として祀っている。
「故事談」によれば、亦底筒男、中筒男、上筒男の三柱の大神である住吉明神が大将軍のときは、日吉明神が副将軍であり、逆になる場合もあるという。三韓征伐に向かう船に乗る二神の姿が重なる。「故事談」が語るのは、日吉明神=撞賢木厳之御魂天疎向津媛命とも理解できよう。ここに伊勢と日吉の信仰が交わる点が見える。
日吉大社の境内社の岩瀧社に、琵琶湖の竹生島との通底伝説が語られていたが、宝厳寺に伝わる古文書「竹生嶋縁起略」には、「欽明天皇六年、弁財天女が大内に元現して曰く、我は竹生島の弁財天、天照大神分魂なり」という神託があったことが書かれている(『円空と瀬織津姫』下巻)。また青森県下北郡の「箭根森八幡神社再興後記」に「比女大神」は「天照大神分身瀬織津姫命」と記している。

八王子山頂上近くの日吉大社摂社には、牛尾宮(八王子)大山咋神荒魂と三宮宮(三宮)鴨玉依姫神荒魂が祀られている。鴨玉依姫神荒魂は、日吉神の一対の神の后神で瀬織津姫命の可能性が高いと考えている。
『太田村誌』によると主祭神は、大己貴命で相殿神に国常之命・国狭土命・惶根命・伊邪那美命・瀬織津姫命・天忍穂耳命・瓊瓊杵尊・神産巣日神を祀り、他にも明治期に合祀した神々を祀っている。

社伝によると、弘仁元年10月15日(810年、平安時代)、日吉大社の分霊を小野に勧請し、鎮守の神とした。古来、小野の水田の多くは干ばつに悩み、人々は高田の浜に潮くみに出かけ、比枝の大神にお供えし、祈念すると霊験まことに著しく、雨は降り、
五穀は豊かに、人々は飢餓を免れたと語り伝えている。降雨の神徳を持ち、各地で「雨乞い」の神として祀られている神に該当するのは、祭神の中では、瀬織津姫命である。




日吉大社の最初の神祀りは、「日吉神と后神」の一対の祭祀であったことは先に触れた。
『社寺縁起伝説辞典』戒光祥出版の日吉大社の項には、「故事談」巻五に、住吉明神が日吉明神の繁栄を祈る話や住吉明神は昔、新羅を討ったとき、我が大将軍で日吉明神が副将軍、将軍を討ったときは、日吉が大将軍で我が副将軍であったと託宣して、日吉神の威徳を讃えていると記されている。新羅を討ったときとは、神功皇后の三韓征伐のことと考えられる。つまり、三韓征伐に向かう船に乗ったのは、住吉明神と日吉明神と伝えているのである。
『古事記』には、神功皇后に託宣する神を「天照大神の御心ぞ。亦底筒男、中筒男、上筒男の三柱の大神ぞ」と記されている。
『日本書紀』には、天照大神の御心ぞと託宣した神を撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(ツキサカキイツノミタマアマサカルムカツヒメノミコト)と記されている。この神は、天照大神荒魂とも呼ばれる女神で伊勢内宮の荒祭宮の神である。伊勢から分霊した山口大神宮(山口市)は、天照大神荒魂を瀬織津姫神と案内板にあり、大阪の御霊神社も天照御大神荒御魂坐瀬織津日賣大神(「大阪府神社要覧」S4年)と記されている。兵庫県西宮の廣田神社は、神功皇后伝承とともに天照大御神之荒御魂を撞賢木厳之御魂天疎向津媛命と同神として祀っている。
「故事談」によれば、亦底筒男、中筒男、上筒男の三柱の大神である住吉明神が大将軍のときは、日吉明神が副将軍であり、逆になる場合もあるという。三韓征伐に向かう船に乗る二神の姿が重なる。「故事談」が語るのは、日吉明神=撞賢木厳之御魂天疎向津媛命とも理解できよう。ここに伊勢と日吉の信仰が交わる点が見える。
日吉大社の境内社の岩瀧社に、琵琶湖の竹生島との通底伝説が語られていたが、宝厳寺に伝わる古文書「竹生嶋縁起略」には、「欽明天皇六年、弁財天女が大内に元現して曰く、我は竹生島の弁財天、天照大神分魂なり」という神託があったことが書かれている(『円空と瀬織津姫』下巻)。また青森県下北郡の「箭根森八幡神社再興後記」に「比女大神」は「天照大神分身瀬織津姫命」と記している。

八王子山頂上近くの日吉大社摂社には、牛尾宮(八王子)大山咋神荒魂と三宮宮(三宮)鴨玉依姫神荒魂が祀られている。鴨玉依姫神荒魂は、日吉神の一対の神の后神で瀬織津姫命の可能性が高いと考えている。
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